後見業務の意思決定支援の重要性が問われており、ガイドラインが策定された。
意思決定支援とは、「特定の行為に関し本人の判断能力に課題のある局面において、本人に必要な情報を提供し、本人の意思や考えを引き出すなど、後見人等を含めた本人に関わる支援者らによって行われ、本人が自らの価値観や選好に基づく意思決定をするための活動をいう。」
施設入所している方が、時に、アパートで独り暮らしをしたいと訴えられる時がある。そのほとんどは今の施設生活に何らか不満を抱いておりそこから逃げ出したいという気持ちである。
独り暮らしをする大変さはもちろん、その時点ではどんな課題が待ち受けているかか認識できていないことがほとんどである。また、元気で何でも行えていた頃と現在のADLの差異にも気付いていない。
食事はどうするか?買い物はどうするか?ごみ捨てはどうするか?入浴はどうするか?
やっぱり施設の生活の方が良いと考え直し、戻りたくなってもすぐに入所できない時どうするか?
その家族は本人と反対に施設入所を希望され、施設入所してやれやれと思っている。その気持ちはどうするか?
本人の気持ちに寄り添えば、いったん独り暮らしを試し、ダメだったらその時に適切に対応するというのが一番良いのは分かっている。
ガイドラインの中でも、「住まいの場を選択する場合、選択可能な中から、本人にとって自 由の制限がより少ない方を選択する。また、本人の生命又は身体の安全を守 るために、 本人の最善の利益の観点からやむを得ず行動の自由を制限しな くてはならない場合は、行動の自由を制限するより他に選択肢がないか、制 限せざるを得ない場合でも、その程度がより少なくて済むような方法が他に ないか慎重に検討し、自由の制限を最小化する。その場合、本人が理解でき るように説明し、本人の納得と同意が得られるように、最大限の努力をする。」と言われている。
いかに本人の立場になって考えれるかが重要で、そこには支援者の価値観で判断してはいけない。